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【AMWA通信6】ダイエットの効率を科学的に考察する。脂肪燃焼に夜ダッシュダイエット(後編)

AMWA通信では健康に関する様々な話題や

世間で注目されていることを医学的アプローチで紐解いていきます。


今回のテーマは、脂肪燃焼の効率を考えた運動について。

この記事の前編はこちら

 

そもそも脂肪が燃焼するメカニズムとは・・・


人の体は究極的には細胞単位で考えるとミトコンドリアで食べたものからATPを作ることでパワーを得ています。ATPはマイナスに荷電したリン(P)を3つも持っているエネルギーの高い物質です。動物は微生物にいたるまでこのATPを燃料にして生きています。

そして、このATPを作る燃料が糖質と脂質です



ダイエットを成功させるには、この脂質の代謝を亢進させる方向にすればいいはずです。


人間の体ではエネルギー(ATP)産生の燃料としてまず糖が使われます。そして糖が燃料として足りなくなったときには脂質が燃料として使われます。


順番としては血中の糖を使いきると今度は貯蔵糖であるグリコーゲンを分解して血中に糖を放出させてエネルギー源に使います。この貯蔵糖「グリコーゲン」が減ってくると初めて脂質をエネルギー源に使い始めると考えられます。



そこで、

  1. グリコーゲンが減った状態を作って運動する。

  2. 脂質を消費しやすい体に改造する。

この二点が達成できれば効果的なダイエットができるはずです。





目標1:グリコーゲンが減少した状態を作って運動する。


グリコーゲンが貯蔵されている場所は肝臓と筋肉の2か所です。


おおざっぱな解釈になりますが、肝臓のグリコーゲンは主に血糖低下(おなかが空いた)時のエネルギー源に使用されます。そして筋肉のグリコーゲンは血糖が低下している時に負荷の強い急峻な運動が行われたときに使用されます。


したがってグリコーゲンの低下した状態を作るためには2つの方法が考えられます。

肝臓のグリコーゲンを低下させるために寝る前におなかを空かせます。空腹の状態で寝ることによって睡眠時間の血糖を維持するために肝臓のグリコーゲンが使用されるので、朝、起きたときには肝臓のグリコーゲンストックは最大限少なくなっているはずです。

そして寝る前、つまり夜に急峻で短期間の強い負荷の運動をすることで筋肉のグリコーゲンを減少させます。


これで血中の糖だけでなくグリコーゲンが体から減った状態を翌朝に作り上げることができます。


整理すると、


1.夕飯は早めに、そして軽くする。その後は寝るまで食べない

2.寝る1時間前に10分間、全力でダッシュする。


この2点になります。


夕飯を軽くするととても寝る前におなかが空くかもしれません。しかし、この時に全力で10分間走ると交感神経が活性化します。交感神経が活性化すると一時的に血糖が上昇するので空腹感が緩和されて我慢できるようになるはずです。

そして風呂に入って10分間の全力疾走の汗を流すと、血流がよくなって眠くなって、空腹感を感じることなく心地よい疲労感からぐっすりと寝られます。





これで翌朝目覚めたときは血中の糖が低く、貯蔵糖グリコーゲンもなくなった状態が出来上がることになります。


この時に運動負荷をかかると、全身の糖とグリコーゲンが少ない状態なのでエネルギー源としては脂肪が優先的に使われることになります。ですのでせっかくですから、脂肪が燃焼しやすい運動をするのがおすすめです。


脂肪燃焼が効率的に行われる運動は軽い負荷の有酸素運動を長時間続けた場合です。つまり、時速6-7kmのジョギング(軽く息が切れるくらいが目安)で20分くらいの運動を行うのがよいでしょう。





朝食は思う存分食べていいと思います。朝を多めに夜は少な目に、これはダイエットだけでなく糖尿病食事療法においても効果的な方法です。しっかりと食べてください。食べていけないものは特にありません。ただ、バランスだけはしっかりとした食事にしてください。


もちろん、糖尿病などの持病をお持ちの方は主治医に相談してください。


前日からの空腹でこんなにおいしい朝食はない、と言っていいくらいおいしい朝食を食べられるはずです。





目標2:脂質を消費しやすい体に改造する。


この目標の達成は比較的簡単です。上記の運動法を続けることです。

毎日の運動を長く続ければ長く続けるほど、体が使うエネルギー源の比率は変わります。


運動を始めたばかりのころに比べて3か月以上、運動を続けると体は脂肪を多く使うようになります。


これにはきちんとした理由があります。運動を毎日続けていると筋肉の細胞において脂肪代謝を促す酵素と糖代謝を抑制する因子の発現が高まることが確認されています。




継続は力なりです。「こんなのつらい」と思った方、多分いると思います。でも、やはり食べたいだけ食べて、寝てばかりいて痩せたい、というのは残念ですがあり得ません。可能な限り、負担を強くしないでいかに痩せるか、これが勝負です。


今回はランニングをお勧めしましたが、要するに運動であればいいと思います。テニスの素振りやスクワットでも代用できます(膝や肘を傷めないように気をつけてください)。



加えまして、このダイエット法を提案したときに「このやり方では筋肉が弱まり萎縮するのではないか」と指摘した方がいました。

正直、この意見には驚きました。三食きちんとご飯を食べて、それに加えて1日あたり合計たった30分間運動をするだけです。この程度の運動で筋肉が衰えることはまずありません。空腹時に運動することがいけないのだとすれば、朝、食事前にジョギングしておられる方は皆、筋肉が衰えていることでしょう。むしろ運動もせずに、夕飯をたっぷりと食べて就寝前まで高カロリーの食べ物をとっておられる人のほうが筋肉は衰えると思います。



学生時代の部活動を思い出して下さい。あれを乗り越えたあなたなら、この程度のダイエット、なんてことないはずです。


あなたならできるはずです。


頑張ってください。応援しています。


(担当:理事 下村 健寿)

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当会理事の雪下が様々な分野の著名人がオリンピック、パラリンピックについて語る毎日新聞の連載記事、「東京・わたし」のインタビュー記事に掲載されました。車いすユーザーとしての視点やTwitterを活用したSNSでの活動、今後の展望についても言及しています。 記事はこちらから。 https://mainichi.jp/articles/20210428/k00/00m/050/187000c

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